HELLO STONE PROJECTいしみがくひとくらし

Instagram

HELLO STONE PROJECT

vol.6 吉田龍太郎さんに会いに行きました

日比さん:日本は、昔から木と石がうまく共存し、石を使う文化が定着している国と思ってきました。この間、あるホテルの建て替え仕事を引き受けたのですが、そのホテルは、木や石材、金属、紙、織物など、日本の文化をうまく取り入れたものになっていました。ただここ30年ほど間で、使い捨てや利便性を重んじる面が色濃く出るようになっていると思います。吉田さん:日本は木の文化とよく言われますが、実はたくさん石も使っていて、特に昔の建築は、木と石の関係性が明確で、うまくバランスをとっていました。たとえば、桂離宮などの組石などは、多様な石の使い方がなされ、美意識の高い建築物のひとつだと思います。日比さんは、これから日本の石の文化は、どのような方向に向かうと思っていますか? 日比さん:今は、日本の文化の良さについては、外国の方がよく知っているのではないかと感じています。2020年オリンピックが大きい節目になると思いますが、日本人が日本の良さに気が付き、少しずつ変わる風潮にあるのではないでしょうか。日本人が忘れていた日本の良さや文化が、未来に向かって開かれ、それが続いて行ってほしいと思います。また、大事なことは、これから石の文化(日本の文化)を若い人にも知ってもらうことで、別の使い方を見つけてもらえるのではと思います。若い人たちが、どのような形で使うかを考えると、すごく楽しみです。その為には、責任を持って、若い方にしっかり引き渡さないといけないと思います。吉田さん:チームプレーが大事だと思います。そして、それをつなぐことが一番大事なことです。文化やモノ作りの技術的な面も継承しなければならないし、考え方なども次の世代に継承しないといけない。経営理念もしっかりしないといけないですね。個人に対するバトンタッチよりも、事業者としての考え方をもって、次の世代を育てていかないといけないと感じています。その面で、関ヶ原石材は、3世代続いていて、継承されていることは素晴らしいと思います。日比さん:一つ質問ですが、タイム アンド スタイルでは、次世代への継承という点で、どのような努力をしているのでしょうか?あと、社員のベクトルを同じ方向に向ける方法や秘訣がありますか? 吉田さん:外からみると、上手にやっているように見えるかもしれませんが、まだまだやらなければならない部分がたくさんあります。自分自身がこれからやりたいこと、目標がたくさんあって、いろんなことにチャレンジしたいと考えております。例えば、去年(2017年)は、大きなチャレンジとして、オランダに自社の店舗を作りました。日本で作ったものをヨーロッパで売り始めたのです。このミッドタウンの店も出店する時には(小さい会社なので)大きなャレンジでした。ハードルが高いことにチャレンジすること、これは、成長につながるのではないかと思います。社会に貢献する方法や社会への役立ち方はいろいろあって、営利目的も重要ですが、それ以上に、文化を作ることや、次の世代に継承できるように正しく伝えることが大事と考えています。家具は、人の手に渡って使ってもらうもの。私たちはアナログな方法にこだわり、緻密な仕事をしています。この考え方に賛同してくれる方がいるからこそ、続けられることですが、常にチャレンジすることと、続けることが大事だと思います。日比さん:僕自身は、タイム アンド スタイルのモノづくりや考え方をリスペクトしているので、今後一緒にモノづくりをする際に、お互いに主張をしながら、ケンカしない程度に(笑)上手く付き合って、何か良いものが出来れば嬉しいです。新しいことができることを考えると、ワクワク、ドキドキしています。吉田さん:日比さんは、どの石や木が好きですか?あと、どのような加工方法や素材がお好きでしょうか?日比さん:好きな石は、人間に近く、自然にも近いので、大理石が好きですね。仕上げは、あまり機械で加工した工業製品よりも、割合と素に近いものに愛着を感じます。手でラフに磨いたものとか、モノに対してストレスを感じないものができればと思います。高価でなく、使いやすいし、触った時に自然な感触があるものが好きです。もちろん、木も好きです。例えば、ヒノキやサワラ、ケヤキが好きですね。やっぱり素材が好きなのかもしれません。 吉田さん:今後、お互いに話し合って良いモノづくりができれば良いと思っております。よろしくお願いいたします。日比さん:こちらこそ、よろしくお願いいたします。今回の対談も本当にありがとうございました。
2018.02.14
Interview

vol.5 吉田龍太郎さんに会いに行きました。

日比さん:先日、「タイム アンド スタイル」旭川工場に案内して頂き、原木を加工しているところを見させていただきました。工場にある機械が、うちの機械と似たものが多く、同じような加工をしていると思いました。特に突板を作る工程を見て、そのアナログさに驚きました。手張り作業を丁寧な工程でやっていて、自然な風合いになるように貼る技術のすごさを感じました。その素晴らしい技術を活かして、石と木を融合させながら一緒に良いモノづくりをしたいと思いました。 吉田さん:関ケ原石材の工場を見て、石をカットする現場を弊社の社員にも見せたいと思ったのです。石と木が似ているところもあるけれども、異なるところがあるからです。特に石を切り出すのにかかる時間です。どれぐらい時間がかかるのでしょうか?日比さん:大理石で150㎝高さの石だと10時間くらいかかります。吉田社長:10時間もですか!木を切る場合、同じ150㎝の大きさで10秒~20秒ぐらいで済んでいるので、もっと簡単に切れると思っていました。石は硬い分、切断するにあたっての時間がすごくかかる。石のエネルギーは木に比べられないぐらい大きいですね。日比さん:今までそのようなことは、考えてもみなかったことです。改めて自分たちがやっていることに気が付きました。お互い工場を見ると、そういう根本的なことも見えてきて勉強になります。私たちは、日本国内で原石から扱い、加工し研磨をする設備まで持っている会社としては、日本で唯一の企業。これは密かに自信を持っているところです。原石を加工し、最後まで我々の手で時間をかけてやることにこだわっています。吉田さん:こだわっている部分は私たちと全く同じです。加工された板を購入してくることは簡単ですが、外部にそのプロセスを任せることになってしまうので、やっていないのです。外部に委託加工した木材を使うと、例えば、少し薄くしたいと思うけれどもサイズが対応できないのです。そうやって一番手間がかかる部分こそ、可能性を感じるのです。楽で簡単な方法で材料を買い加工するより、素材のポテンシャルを十分に引き出すことが大事だと思います。誰もできないこと、関ケ原石材の技術力高めていくことをこれからも続けていってほしいです。ところで、日比さんが考える「石の幸せ」とは何だと思いますか?或いは石の生い立ちは何だと思いますか? 日比さん:ある石がどのような過程で、どのような経緯をたどって、ここまで来ているのかに、すごく興味があります。ただ石を採って建物に貼るのではなく、その石が落ち着く場所と形に作ってあげること、これこそが、私たちでやらなければいけないところだと思います。吉田さん:家具も木も石も、その場に合うことが大事だと思います。使われている素材は、収まるところに収まるという考え方、『適材適所』ということですね。使われている素材と使われている場が適切であることは、どんなものについても共通しているところではないかと思います。木の世界では、“木を買わずして、山を買え”という1000年以上伝えられてきた宮大工の口伝があります。例えば、南側に立っている木は南向きに使いなさい、という木の方向に合わせた使い方は、日本の歴史の中で育まれてきたものです。法隆寺や東大寺など1,400年以上建っている建物も、その考えに則って建てられています。石の世界もこのような方位、方角、向きを考えて石を使うという考え方がありますか? 日比さん:石の場合は、方向より時間軸で考えています。何億年、何万年規模単位で石の目幅が揃うので、その層の模様を見た上で、それを活かすように使うので、良い石を時間かけて丁寧に扱うことにこだわっています。もう一つ、石は文化だと思います。文化や技術を守りたいと思っているのです。企業を運営する上で大変なところはありますが、続けることにこだわりを持つことが大事だと思います。石も木も日本の文化だと思います。吉田さん:そうですね。僕も日本の文化は、木と石のバランスがよく取れていることだと思います。特に日本は、昔のものも含め、木と石が調和し、新しい関係を作り上げながら、建物となってきました。ここに様々な可能性を感じるのです。これからの石の文化はどうなるか気になりますね。その点についてまた次回、日比さんの考えを聞いてみたいと思います。
2018.01.10
Interview

vol.4 吉田龍太郎さんに会いに行きました。

今回、日比さんを訪ねて話を聞いたのは、「タイムアンドスタイル」を運営する、プレステージジャパンの代表取締役社長を務める吉田龍太郎さんと、設計デザイナーの安藤良和さんです。吉田さんが運営している「タイム アンド スタイル」は、日本人特有の美意識をコンセプトに、新しいインテリアスタイル・オリジナル家具を世界に向けて発信しているライフスタイルショップのひとつ。上海にも店舗を構えており、今年はアムステルダムにもオープンしました。二人の出会いは、 “石の魅力をもっと伝えたい、石をふだんの暮らしに取り入れたらどんな空間になるだろう”という思いからスタートした、関ケ原石材の「ハローストーンプロジェクト」でした。吉田さんの共感を得て、一般のお客様向けに開発した商品「ストーンパレット」を、去る7月7日~18日の間「タイム アンド スタイル」で展示することになったのです。 吉田龍太郎さん、日比さん、安藤さん(写真右から)吉田さん:今年の春、関ケ原石材に初めて伺いました。行く前は、プレート状の石が並んでいる工場だと想像していたのですが、行って見たら巨大な石のブロックがたくさん並んでいて、石の固まりに圧倒されました。物凄い重量感のある空間が存在しているさまに驚きました。日比さんにご案内頂きながら、楽しくて楽しくてあっという間に時間が経ってしまいました。もうちょっと見たい、もうちょっと触ってみたいと思ったくらいです。(笑)僕らは木を扱っていますが、例えば、原木だと100年~200年経った木が山積みになっていて、その姿に圧倒されることがあります。石からそれに近いものを感じたのですが、石は何億年という時間が経ったものもあるので、その点、木とは全く次元が違います。石の世界の壮大さに心が動いてしまったのです。安藤さん:石はほとんど知識のない素材で、関ケ原石材の工場に行くまで、硬く重い印象で使いづらいのではと思っていました。しかし、私たちが扱っている木と同じところがあって、例えば、石も目の方向があるとか、職人さんが切り出した石を並べ模様を合わせているなどを目にして、私たちの工場の職人と同じことをやっていることに驚きました。天然のものというところも木と石は同じだと思いました。 日比さん:今回の展示会で勉強になったのは、お客様の言葉を直接聞くことができたことです。特に、お客様が石を触っているのを見て、本当に嬉しかった。当社では、ミッドタウンの内外装で様々なところを建築材料としてお手伝いしています。例えば、各階のトイレの壁床もその一つです。でもトイレの壁石をわざわざ手で触る人はあまりいないですよね?お客様が「タイム アンド スタイル」のテーブルを手で触った後、石の感触を見定めように触って頂いた。それは、もの凄く新鮮だったし、嬉しいことでした。それをみて、新たな石の可能性を感じたのです。触れて良さを実感する提案の仕方は大切だと思いました。安藤さん:工場に行って感じたのは、石は生活に身近な素材だということです。自分の目で見ないと分からなかったことです。今回の展示会ではそのところを伝えたかったので良かったと思います。吉田さん:石に触ってみて本当に温かいものと感じました。冷たいイメージだったのですが全然冷たくなかったですね。僕らもモノづくりをしていて、いろんな世界の方と出会いがあり、いろんな話をさせていただきます。そして素材の本質を知らない限り、良いモノづくりはできないと実感してきました。そんな中で石は、今までに経験したことのない素材なので、何かができるのではないかと感じました。二つの素材を融合して突っ込んだ話ができたということが一番嬉しかったことです。 日比さん:約2週間「ストーンパレット」展示会の間、私も会場にいて「タイム アンド スタイル」のスタッフさん達がテーブルのペーパー掛け度合(仕上がり具合)を相談しているのを耳にし、仕上がり具合を見定めながら磨くのは石材も木製品と一緒だと思いました。そして、関ヶ原に戻ってから、ここのテーブルに触れた感触を思い出しながら、新鮮な気持ちで石を磨いてみました。何か、石が喜んでいるように思われました。大理石の成り立ちは、木や様々な生き物の死骸などが積み重り、それが地球規模の熱や圧力によって、何億年もかけてできたもの。自然が造り上げているという点では、木も石も一緒です。吉田さん:そうですね。木の世界では、サスティナビリティということが重視されるようになってきました。モノのサイクルを考えたモノづくりをやって行かねばということも含め、一本の木が育つのに何十年とかかるので、実は地球の生い立ちそのものだと思います。木を切ったらまた植えましょうという考えを地球規模で考えることです。木と石、異なるけれど、人にとって近しく意味がある存在と感じました。日比さん:まだまだ話は尽きないので、この続きは次回にしましょう。photo_Aiko Suzuki
2017.11.27
Interview

vol.3 川島蓉子さんが聞きにいきました。

石を暮らしに身近に「STONE PALETTE」  石を生活空間に取り入れる商品前回、前々回と二度にわたり、石という素材は、暮らしと離れた存在でなく身近にあることを、石博士のような日比さんからうかがってきました。それを聞いて石に興味が湧くとともに、関ヶ原石材はどんな仕事をしているのかを、もっと知りたくなって聞いたところ、最近、一般消費者に向けた新しい商品も開発しているというのです。さてそれは、どんな商品なのでしょう――“石の魅力をもっと伝えたい、石をふだんの暮らしに取り入れたらどんな空間になるだろう”という思いを込め、「ストーンパレット」と名づけられたもの。あらかじめ揃えられている何種類かの石から、表面加工も含めて選ぶことができ、しかも施工屋さんが簡単に取り付けられるのも、手軽さにつながっています。物凄く簡単に言うと、石のパーツをタイルのように組み合わせた商品で、壁一面を覆う使い方だけでなく、パーツとして使うこともできるのです。 ライフスタイルショップ「タイム&スタイル」で行った展示会カタログを見せてもらったところ、簡単な額装をして絵のように飾るパターンや、腰から下の壁に部分的に貼るパターンもあって「これならわが家もやれそう」と、ちょっと夢が広がりました。住まいの中で、木や布といった素材は当たり前のように使ってきたのですが、日比さんの話から、石にもそういう可能性があると感じたのです。「知らない方に、もっと石の良さを知って欲しいと思ったのです」と日比さん。カタログだけ見ていると、簡単な造りに見えるのですが、たくさんの工夫を盛り込み、手軽・気軽に取り入れてもらうことを意図したといいます。そして、この「ストーンパレット」、去る7月7日から18日まで、「東京ミッドタウン」のライフスタイルショップ「タイム&スタイル」で、お披露目の展示会の行ったのです。訪れてみたのですが、ショップの入り口にあるギャラリースペースで、家具と「ストーンパレット」を組み合わせたシーンは印象的なものでした。 石がもたらす空間の豊かさ2つのパターンがあって、ひとつはローチェストの上部の壁に、絵画のように額装した「ストーンパレット」を掛けたもの。ローチェストの上には、見事な盆栽が置かれています。「カパオボニートレッド」という赤とオレンジ系の色が混ざっている石と、「グリーンマーブル」という緑色の大理石の2つの額が配されていたのですが、自然物である石の醸し出す文様の美しさに見入ってしまいました。日比さんから聞いた「石は何億年もかけてできたもの」という言葉がずしりと身体に染み入ってきたのです。 もうひとつは、ベッドのヘットボードの背面に「ストーンパレット」を配したもの。海岸に打ち寄せる波のような縞模様であることから「浪花石」と名づけられた石に「スクラブ」という凹凸のある加工を施してあって、豊かな表情が息づいています。日比さんは会期中、お客さんを迎えて説明したそうですが、「多くの方が石に興味を持ってくださって嬉しかった」と笑顔を浮かべて語っていました。産声を上げたばかりの「ストーンパレット」ですが、これからの成長が楽しみと感じました。
2017.09.28
Interview

vol.2 川島蓉子さんが聞きにいきました。

石から建物ができるまで 石でできた建物には、石ならではの表情がある前回の連載では、私たちの暮らしの身近なところに石がたくさんあることを、日比さんから教えてもらいました。以来、私は石が気になって、街を歩くと眺めるようになったのですが、大きな建物は石かガラスでできているものがほとんど。しかも、歴史がありそうな重厚感のある建物の大半は石造りです。どんな石なのだろうと近寄って眺めると、日比さんの言う通り、自然物のなせる技なのでしょう。表面の柄に表情があって面白いのです。こういうビルの外壁を作っているのが、関ケ原石材の仕事。さて、具体的にどんな風に作っていくのでしょうか。まず、建物を建設するいわゆるゼネコンから「こういうビルを作るにあたって、こういう種類、色柄の石を使いたい」と依頼が来るところから仕事は始まります。と同時に、どの程度の大きさの板にして、どう組み合わせていくのかを決定し、石を加工する作業に取りかかっていくのです。 石の加工って面白い!関ケ原石材を訪れると、2~3mくらいの石の塊が、ごろごろところがっていてびっくり。大きな石の塊は、それだけで迫力満点、どんとした存在感がかっこいいのです。建物を造るにあたっては、大きな石を加工して板状にする作業を行います。硬い石を裁断するのに使われるのは、直径3メートルが超える円盤にダイアモンドチップを付けた大丸鋸と呼ばれる機械。この大丸鋸を超高速で回転んしながら、ダイナミックに硬い硬い石を裁断していくのです。ものができていく過程は面白いものですが、巨大な石を断裁するのを見る機会は、そうあることではありません。延々と眺めてしまいそうなほど、引き寄せられてしまいました。表面加工も施されます。ぴかぴかに磨き上げるのか、ざらっとした触感にするのかで、同じ石でもまったく違って見えるから不思議、不思議。あえて凸凹感を強調した粗削りにすることで、石の質感を際立たせたるものなど、関ケ原石材の持っている高い技術に驚かされました。日比さんは「大したことじゃないです」と少し恥ずかしそうでしたが、関ケ原石材には、世界に誇れる技術がたくさんあると感じ入りました。 組み合わせ方で異なる表情の数々もうひとつ興味深く聞いたのは、石の板の組み合わせ方です。最初に触れたように、石は自然物なので、一枚一枚表情が異なります。たとえば本を開いた時のように対称形で組み合わせるのと、右から左へと一方向に組み合わせるのでは、建物の見え方がかなり変わってきます。そういった多くの手法の中から決めた組み合わせで、実際、床に並べてみて検証する仕事も大事です。「建築家やゼネコンの人にお越しいただいて、一緒に眺めながら話し合います」と日比さん。たまたま、ある建物の検証を行っている場を見せてもらいましたが、10m四方くらいの空間に、石が平置きされているさまは、見たことがないユニークな風景です。色柄を緻密に考えた配置になっていて、人工物ではない石の良さが伝わってきます。 何気なく見ていたビルの外壁や内装の石は、こうやって丁寧に緻密に作られていると知って、価値ある存在と改めて思いました。人はそうと意識しなくとも、街中でこういう場面をいっぱい目にしているのだと、大きな発見になりました。
2017.07.26
Interview

vol.1 川島蓉子さんが聞きにいきました。

石は暮らしのまわりにたくさんある 石の世界って深いんです。「石」という言葉から連想されるシーンは、たとえば川原に広がる石ころ、墓地に並ぶ墓石、日本庭園に置いてある石――日々の暮らしとは、少し遠くにあるイメージです。でも実を言うと、石はまわりにたくさんある――関ケ原石材の日比順次さんからそう聞いて驚きました。関ケ原石材は、建築物の外装やインテリアをはじめ、さまざまな石材を扱っている会社で、取扱高は日本一。たくさんのビルを手がけているのです。66年に及ぶ歴史を持っているので、会社の中には石にまつわる知識や知恵がいっぱい。面白いエピソードが、あれこれ詰まっているのです。このコーナーは、「石を語らせたら凄い」と感じた日比順次さんの話を、ライターである川島蓉子が聞きに行きました。日比さんは、一見すると寡黙そうですが、石について語り出すと止まらない。石博士みたいに何でも知っているのです。そして、知り合いに関ヶ原石材の話をしたところ、「行って日比さんの話を聞いてみたい」という声があちらからもこちらかも。この連載では、デザイナーやアーティスト、建築家など、さまざまな人の関ケ原石材探訪記もまぜていきます。 駅は石でできている!初回は、本連載の書き手である川島蓉子が日比さんにインタビューしました。最初に抱いた疑問は、どんなところで石は使われているのかということ。街中の石と言われても、道路はコンクリートだし、お店のインテリアは木が多いように感じていたので。日比さんから返ってきたのは「駅も石でできているんです」という言葉でした。駅などの公共建築物は、壁、床、階段など、ほとんど石でできているそうです。言われてみると、JRはもちろん、地下鉄の駅も、石、石、石‥‥。それはなぜなのでしょうか。「石はもっとも丈夫で長持ちする素材。50年くらい経っても擦り減らない、圧倒的な耐久性を持っている材料なんです」。膨大な数の人が行き来する駅は、耐久性が求められる場所。だから石が重用されてきたというわけです。 石は何億年もかけて造られたもの「川島さん、街中の建築をもっと見てください」と日比さんに言われてみると、建築物の外壁もしかりと思いました。街中には、明らかに石とわかるビルってたくさんあることに気づきます。「東京ミッドタウン」や「六本木ヒルズ」の建物の外壁は、関ケ原石材が手がけたと聞いて、石材屋さんの仕事とは、そういうところにあったのかと腑に落ちました。大きな建物になると、数え切れないほどの石のブロックが外壁を彩るわけですが、それを造るにあたって、関ケ原石材はどんな役割を担っているのでしょうか。岐阜県関ケ原にある工場には、2~4mくらいはある巨大な石の立方体がごろごろ転がっています。これらは、まさに世界中から買い付けてきた石の数々。「世界50カ国くらいから、350種類くらいの石が揃っています」と日比さん。石ってこんなにたくさん種類があったのかと、博物館を巡るように眺め入ってしまいました。 「石はさまざまなものが堆積して、何億年もかけてできてきたもの」と聞くと、計り知れない時の厚みを蓄えた石に、尊厳みたいなものを感じます。思ったのは「石って凄い、石って面白い」ということ。時の流れを忘れ、工場見学をしてしまいました。次回はこの続き。石の塊がどのような過程を経てビルになっていくのか、日比さんの話は続きます。
2017.04.16
Interview
Interview